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平成30年度                                                           四季の森公園の植物へ
10月
10月9日(火)
カツラ ケヤキ アキニレ ノガリヤス ノガリヤスの小花

葉の表裏の転倒、葉舌 シラヤマギク シラヤマギク:下から見た姿 ノダケ ノダケの花

10月9日(火)

 台風の来襲、天候不順といろいろ事情があり、四季の森公園を訪れる機会が遠ざかってしまった。今日、土曜日は1時からボランティアさんによる見所案内が予定されていそうなので出かけてみた。

 10月に入ったこともあり、樹々の葉が色づき始めていた。入口広場にあるカツラ、ケヤキはいち早く色づいている。中でもカツラの黄葉は一足早いようだ

 アキニレを見ると、花が終わり、果実に変わり始めていた。9月ごろ咲くので、もう少し早く来ていれば見られたと思うと、花の咲くのを楽しみにしていただけに、残念な思いがした。

蛍川橋を渡り、先日見たヤマホトトギスの様子を見ると、既に花の姿はなく、葉の形で見分けるしかなかった。「こんなに早く散ってしまうものかなぁ」と思った。「花の命は短くて・・・」という言葉があるが、綺麗なほど早く散ってしまうのかもしれない。

 ヤマホトトギスに代わって、カゼクサに似たものが土手にたくさん生えていた。ノガリヤスと思うが、まだ確信が持てない。ポイントをチェックすると、背丈1m、葉の長さ40cm、幅8mm、穂の長さ22cmであった。以前、ノガリヤスについて調べたことがあったので、見直してみた。下記の資料では「小花に長いノギがり、カゼクサの小花とは違っている」、「葉は表裏転倒し・・・長さが30㎝~50㎝、幅3㎜~5㎜」と書いていた。資料の穂を見ると、2個が対になっており、先に長いノギが見られる。葉舌を見ようとすると、基が捻じれ、葉の表裏が転倒しており、撮影がし難かった。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2433.html

 シラヤマギクが咲いていた。花が終わるのか、終わるのかと思いながら見てきているが、四季の森公園だけでなく、いろいろなところで、このような姿で見かけている。舌状花の枚数が少ないので、本当に何時最盛期を迎えているのか、得体が分からない。見かけは、萎れ始めているように見えるが、拡大してみると、未だ十分瑞々しさが感じられる。シラヤマギクの茎を下へ辿っていくと、葉が次第に大きくなって来る。最初、この花に気が付いたときは、こんなにも葉が大きくなるのがと吃驚した。今ではその時のことが、この花の名前を知るきっかけになったと思っている。

これは花なのか、ちょっと見ただけだと、果実のようにも見えるし、蕾のようにも見える。この花を最初に見たのは、仲町台にある自然生態園だった(資料)。その奇形を見て「これは何じゃ」と思った。その後、この花を見かけることがなく、詳しく調べることもなかった。それでも、「ノダケ」の名前は記憶にあった。写真を撮っているときは、「黒いものが固まっている程度に思い、取り敢えず、写真に収めておこう」と軽く考えていた。ところが花を拡大すると、花は黒色ではなく、紫色で、雄しべのようなものが目に入って来た。おや、「これは花ではないか」と気づいた。今思えば、もっと鮮明な写真を撮っておくべきであった。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1956.html

撮影:撮影:10月6日
  記  平成30年10月8日)
10月10日(水)
アキノウナギツカミ アキノウナギツカミの蕾 ミゾソバの蕾 キンエノコロ キンエノコロの穂

キンミズヒキ キンミズヒキの花 キンミズヒキの果実 フジカンゾウの果実 ヌスビトハギの果実

シャクチリソバ シャクチリソバの花 チカラシバ チカラシバ

10月10日(水)

 はす池の道寄りにアキノウナギツカミとミゾソバがある。この2つの花はよく似ている。ここではアキノウナギツカミの方が多いようだ。淡いピンク色の花を見ようとしたが閉じているようで、よく見えなかった。望遠を利かして見たが、やはり蕾のままのようだ。2つは葉が違うので、葉を比べると区別がつく。アキノウナギツカミの葉は細長く、基は茎を挟むようになっている。ミゾソバの葉は大きな耳があるが、茎を挟んではいない。更に、アキノウナギツカミの茎には逆棘が見られる。

 キンエノコロが沢山見えた。エノコログサの仲間だが、最後に咲いてくるようだ。他のエノコログサの仲間は穂が曲がるが、キンエノコロの穂は垂直に伸びている。また、穂は一回り短く、細い。基部の剛毛は金色をしている。真夏の時に探しても、なかなか見つからないが、今頃は、他のエノコログサが枯れ始めているのに、キンエノコロだけが生き生きとした姿をしている。

 キンミズヒキもまだ僅かに花を残していた。前回来たときは、彼方此方に黄色い花が見えたが、今ではめっきり数が少なくなっている。下の方は果実になり始めているが、まだみんな緑色で、若い果実である。それでも副萼片の変化したカギ状の刺が多数見え始めている。

 先日、咲き誇っていたフジカンゾウの花がぴたりと消えてしまった。一目見た時、ヌスビトハギに似ていて、「これはヌスビトハギなのだろうか」と思わせた花だが、花が終わってしまうと、あっけなかった感じがする。今は、既に若い果実に代わって仕舞っている。大きさは、ヌスビトハギの果実より一回り大きいようだ。計測してみると、2個1対の幅は3cm、高さは7mmであった。すぐ近くにヌスビトハギの果実があったので、計測したら、1.4cmと5mmであった。ヌスビトハギの方はまだ僅かに花を見ることが出来る。

 これはソバの仲間と思うが、名前は何というのだろうか。葉はミゾソバの葉より一回り大きい。先程のアキノウナギツカミやミゾソバは蕾の状態だったが、このソバには白色の花が咲いている。5枚の花弁(実は萼)がよく分かる。(後日、シャクチリソバと分かりました)

 剛毛が長いノギをつけたチカラシバが見えた。見るからに力強そうに見える。引き抜こうとしても、引き抜くことは難しい。このチカラシバは、繁殖力が旺盛で、生命力が強く、草原一帯を独占している。正に秋の風物である。
撮影:撮影:10月6日
  記  平成30年10月9日
10月11日(木)
ツリフネソウ カラスウリ:虫えい ヒメグルミの果実 ヤブマメ ヤブマメの花

ツリフネソウの花 池の畔側のツリフネソウ ツリフネソウとキツリフネ ミツマタ

10月11日(木)

 はす池沿いに進み始めると、ツリフネソウが見えて来た。先日ここを通ったときは、この花の存在に気が付かなかった。一気に咲き出したように思える。先日はこの付近で、クズが池のヨシを覆うようになり、花をつけているのを見たが、今は、水辺にツリフネソウが進出している。ツリフネソウにこんなに繁殖力があるとは初めて知らされた。

左側に紐のように膨らんだものが見えた。これは一体は何だろうか。蔓をたどると、カラスウリの葉が付いていた。これはカラスウリになるのだろうか。しかし、カラスウリはこのような果実はつくらない。いろいろ資料を見ていくと、下記の資料が見つかり、虫えいということが分かった。虫えいは、いろいろな植物に現れてくる。
 資料:https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/karasuuri.html

 はす池の一番奥に、クルミの樹が2種類ある。1つはヒミメグルミで、もう1つはシナサワグルミである。今、ヒメグルミには果実が出来ている。暗く、撮影し難かったが、楕円形の形が分かる写真は撮れた。

 はす池の端から戻り始めた。池はヨシが一面に繁っており、対岸は見ることが出来ない。この池を見ると、ヨシの周りにいろいろなものが犇めいている。アキノウナギツカミ、ミゾソバ、クズに混ざってツリフネソウも犇めいている。先日は、ここにツリフネソウは見えなかったと思ったが、「意外と、進出力があるのだなぁ」と思った。下の方にヤブマメが見えた。先程も藪の奥に見えたが、ヤブマメはこんな沼地のようなところで生育するとは思わなかった。このところ幾つかのマメ科の花を見て来たが、このヤブマメ、ツルマメ、タンキリマメ、トキリマメが交錯してきた。ヤブマメは葉の中央部から基部の方の幅が広く、トキリマメの葉に似ている。タンキリマメは中央から上の方の幅が広い。ツルマメだけが細長い葉をしている。

 里山の崖を見ながら、はす池沿いに進み始めると、ピンクのツリフネソウが見えてきた。先日は藪の中にぽつんと見えたのだが、花数が急激に増えていた。ツリフネソウは水辺近くに咲く花と思っていたが、多少水辺から離れても生育するようだ。先日、ツリフネソウが伐採されがっかりしていた思いが、この光景から解放された。周りを見ると、道を挟んだ池の畔側にもツリフネソウが沢山咲いていた。今が最盛期のように思える。

 「これは何の樹ですか」と聞いた人がいた。「ミツマタです」の答えが返って来た。緑の葉に黄色く染まった葉が混じり、変身した姿からはミツマタのイメージが湧いてこない。この近くにはミツマタの樹が何本も植えられ、ミツマタ園のようになっている。

撮影:撮影:10月6日
  記  平成30年10月9日
10月12日(金)
ザクロソウ(右側) 道端のユウガギク ユウガギクの花 ユウガギクの群生 ゲンノショウコ

ゲンノショウコの花 ハナタデ ハナタデ タイアザミ ヤブタバコ

ヤブタバコの花

10月12日(金)

 畑の中にザクロソウがあるというので、説明を受けながらみんなで見たが、小さいので、遠くからではその存在に気が付かなかった。改めて見直すと、3枚の葉が輪生しており、その葉腋から出た花枝の先に小さな花をつけていた。今は花が咲いていないが、下記の資料によると、花被片は5枚という。
 資料:https://matsue-hana.com/hana/zakurosou.html

 道を隔てたところにユウガギクがある。ここでユウガギクを最初に見たのは、7月18日である(資料1)。ノギクノ中でユウガギクは早めに咲くというので、この時に確認したが、その後、9月12日に見た時(資料2)にも花数が増えてこないので、そろそろユウガギクの花期が終わりに近づいたのではと思っていたが、今日は見違えるほど花数が増えていた。「今が最盛期である」ことを再確認した。ここで花数が多いと思ったが、畑の反対側へまわると、さらに多くのユウガギクが咲いている群生地があった。「これがユウガギクなのかぁ」と思うくらい見事な光景であった。
 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2858.html
 資料2:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2925.html

 草原を横切り、進んで行くと、白色の小さな花が目に入って来た。最初はゲンノショウコと思ったが、場所を考えると、もしかしたらアメリカフウロではないかと見ていたが、葉が細かく裂けていないところを見ると、これはアメリカフウロではないと分かって来た。すると、やはりゲンノショウコになるようだ。ゲンノショウコは草原ではなく、土がもう少し肥沃で、日陰によく見かけていた。ここでは、花の大きさは変わらないが、葉が小さかったので、一見別物に見えてしまった。

  園道へ出ると、道端にタデが花をつけていた。このタデは小花が疎らになっているので、イヌタデでなく、ハナタデになるようだ。

 タイアザミが咲いていた。毎年大きなタイアザミを見て来たが、どういう訳か、今年は小さなタイアザミばかり見ている。まだ早く、これから大きくなって来るのだろうか。

 垣根に絡みつくようにヤブタバコがあった。今年はいろいろなところで、このヤブタバコを見て来た。長い枝が横に張り出て、花柄のない花がびっしりとついているところがこの花の特徴で、コヤブタバコ、ガンクビソウとの違いが分かって来た。

撮影:撮影:10月6日
  記  平成30年10月10日(水)
10月13日(土)
トリカブト カワセミ イヌショウマ 紅葉の始まり 白色のヒガンバナ

イヌタデの大株

10月13日(土)

 左側の藪を見ながら進むと、奥にトリカブトがあるとの説明があった。先日も、ここの奥にトリカブトがあるのを見ている。ここからは未だ蕾の状態なので、トリカブトとは分かり難い。トリカブトは猛毒な植物といわれている。こんな猛毒な植物が身近にあるとは恐ろしことである。どういう植物か下記の資料で調べてみると、「北半球の温帯~亜寒帯原産の植物です。日本には約30種類ほどのトリカブトがあり、いずれも有毒です。」という。ますます恐ろしさを感じて来た。
 資料:https://lovegreen.net/flower/p111499/

 猛毒の恐ろしさを余韻として残しながら、進むと、野鳥観察をしているグループにあった。ここの池の畔は野鳥観察の適所らしく、ここを通るときは、何時も野鳥を追いかけている人に出会う。今日は何が見られるのだろうかと、カメラを向けている方向を見ると、何時も見るカワセミが先日と同じ切株にとまっていた。カワセミは青、薄茶などの配色がきれいで、見栄えがある。1枚写真に撮った。

 ブラシのような花があった。これはイヌショウマかサラシナショウマになる。ここの公園では初めて見た。サラシナショウマには花柄があり、イヌショウマにはないという。この花はどうなっているのだろうか、離れているのでよく分からないが、写真からは柄がなさそうに見えるので、イヌショウマになりそうだ。

 北門が見えてきた。ここから見ると、ケヤキがうっすらと色づき、紅葉が始まりだしたことがはっきり分かる。手前のアキニレの緑と対照的な景色が美しく映る。

 蛍川橋から川の土手を見ると、白色のヒガンバナが咲いていた。「もう彼岸はとっくに過ぎているのに珍しいなぁ」と思った。周りにあった赤色のヒガンバナは既に花を終えている。白色の方が遅く咲くのだろうか、調べてみたい。

 川淵にイヌタデの大株があった。ここでアカマンマの話が出て、食べてことがあるとの話が出て来たので、みんなで口にしてみた。しかし味は分からなかった。

撮影:撮影:10月6日
  記  平成30年10月13日(土)
10月14日(日)
ヒヨドリバナ ヒヨドリバナの葉 ヒヨドリバナの小花 トダシバ 葉鞘

小穂 ヌカキビ ナンバンギセルが見られた崖 ヤブマメ

ヤブマメの花 ススキの群生

ススキの中に見えた

セイタカアワダチソウ

10月14日(日)

 この花もヒヨドリバナになるのだろうか。ヒヨドリバナについては何度も取り上げているが、随分前から咲いているように思える。しかし、調べてみたら、今年最初に記録したのは8月15日のことで、記憶違いのようだった。牧野新日本植物図鑑等にはヒヨドリバナの花期は8~10月となっている。やはり今咲いていてもおかしくないようだ。

 先日、トンネル前のトダシバについて、よく調べていなかったので、もう1度、葉の表面の毛を中心に確認した。葉の表面を見ると、確かに毛があり、トダシバの特徴を示していた。葉鞘を見ると、合わせ目に毛が見える。片方だけに毛があるのだろうか。もしそうだとすれば、ヌカキビに似ている。小穂は2つの小花からなり紫褐色をしている。丁度花が咲いており、雄しべ、雌しべが見えた。確かにトダシバであった。

 トダシバの直ぐ隣にヌカキビがあった。これを見るのも久しぶりである。秋の今頃出てくるものと、改めて確認した。柄が長く、その先に2個ずつ小花が付いている。小花の付が疎らなので、近づかないと、ヌカキビと分かり難い。小花は蕾の状態で、まだ開いていないようだった。

 トンネルを出ると、右側に高い土手が現れて来た。この崖で、先日ナンバンギセルを見ている。これがナンバンギセルかと思わせるぐらいに沢山のナンバンギセルの花を見ることが出来た。若しかしたら、まだ花が残っているかも知れないかと、微かな期待をして、近づいた。そして、数か所の草の踏み跡を見つけ、よく見たが、既に、どこにあったかも分からなくなってしまっていた。ナンバンギセルはススキなどの根元に寄生するという。その通り、この崖にはススキが群生している。

 この崖の一角に、先程、はす池見たヤブマメが見えた。ヤブマメは上から下がってきているようで。蔓には、青紫色をした花が沢山ついている。ここでは、手で触れる高さにあったので、よく見ることが出来た。葉は大きな楕円形で、中央付近が一番広いようだ。花は細長い形をしており、長さを計測すると、1.5cmあった。旗弁の内側の縁が青紫色で、白色の線模様が見られる。翼弁、竜骨弁とも白色である。竜骨弁は翼弁よりも短いようだ。

 道の左側には中学校があり、その裏はまた別の崖になっている。そこもスキが群生している。こういう風景を銀世界と呼んでいるようだ。この銀世界を見ていると、ぽつんと黄色い花が見えた。遠くからでもセイタカアワダチソウと分かった。周りにも色づいたセイタカアワダチソウが幾らかみられるが、ススキほどではない。この銀世界が、次第にセイタカアワダチソウの金世界へ変わるのももう直ぐのようだ。

撮影:撮影:10月6日
  記  平成30年10月11日(木)
10月15日(月)
イタドリ イタドリの果実 コブナグサ コブナグサの小穂 コセンダングサ

コセンダングサの頭花 アメリカセンダングサ アメリカセンダングサの頭花 左:チカラシバ 右:コブナグサ ヒヨドリバナ

10月15日(月) 

 坂を少し下ると、イタドリがあり、先日もこのイタドリを見ている(資料1)。イタドリは雌雄が別株たが、その時はどちらの株かは、判定が出来なかった。白く見える花をよく見ると、これは果実になっている。拡大すると、3枚の翼があり、その中心に赤みを帯びたものが見える。下記の資料によると、「花のあと雌花の外側の花被片3個は翼状にはりだし、そう果を包み・・・」と説明されている。この果実の姿を見て、ギシギシを思い出した。ギシギシとイタドリはともにタデ科であるので、果実の形が似ているようである。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2929.html

  崖の下は暗くなってきた。下草を見ていくと、コメヒシバに似ているものが見えてきた。薄暗いが、よく見ると、葉が広く、コメヒシバとは違っている。これはコブナグサになる。コブナグサの穂は線状で、しかも小さいので、よく見たことはない。牧野新日本植物図鑑によると、「小穂は各文節の節々に1個ずつあり・・・」とある。「花軸の節に1個ずつつく」ということになる。下記の資料ではこのように説明されていた。
 資料:https://matsue-hana.com/hana/kobunagusa.html

 坂の下には水田がある。ここの水田は、近くの小学校が自然学習として利用している。都会では貴重な体験ができる小学校である。水田は、先日の台風の影響もあり、イネは横倒しになっていた。  左側を見ると、道の脇にコセンダングサが黄色い花をつけていた。センダングサの仲間にもいろいろあり、特徴を調べた時のことが思い浮かんできた。この黄色い花の頭花は、筒状花のみで、舌状花はない。従って、横への広がりがみられない。  少し進むと、コセンダングサにそっくりなアメリカセンダングサが見えた。この2つの区別が出来ないときは、両方をアメリカセンダングサとみなしていた。アメリカセンダングサも筒状花のみからなるが、総苞が輪状に開いているので、他のセンダングサの仲間とは区別がつく。  出口近くに小さな沼があり、その縁にチカラシバとコブナグサの小群落があった。コブナグサの方が水辺近くにある。
撮影:撮影:10月6日
  記  平成30年10月12日(金)
10月16日(火)

自然観察会

(里山の果実の種子

)の参加者

説明を受ける光景 アキニレの果実 ススキ ナツツバキの果実

オシロイバナ ガマ

10月16日(火) 

  10月14日(日)には、四季の森公園で自然観察会(里山の果実の種子)が予定されている。朝方雨が降ったので、行くか、行くまいか迷っていると、雨がやみ、次第に明るくなってきたので、出かけることにした。

 四季の森公園へ早目に着いたので、誰も集まっていなかった。休憩所で休んでいると、アナウンスがあり、次第に人が集まって来た。集合時間の1時には50人近くの人が集まったようだった。

  開会式が行われ、今日の予定などが説明された。その後、はす池の広場へ移動し、種子について基礎的なことの説明を受けた。

配布された資料より

マツなどの裸子植物は種子をつくらないが、カキなどの被子植物は果肉に種子を含むことで、動物に種子の散布を促している。

種子の散布方法には、下記の4つがる。

1.重力・自然散布

2.被食散布

3.付着散布

4.風散布

5.水流散布



 柿の実を使って種子について説明があった。果肉の中に種子が入っており、その種子の断面の大部分を占めているのは胚乳で、小さい葉のような形をしているのが胚になる。胚が胚乳の養分を取り入れ成長していき、新しい個体へと成長していく。

 種子の説明を受けた所はアキニレの樹の傍であったので、「ここにアキニレの果実がありますよ」と見ることを勧めた。この果実は先日も見ている。果実は2つが対になっていて、中心部を中心に赤紫色に変色していた。中心部のふくらみが大きくなったようで、触ると、種子の存在が感じられる。

 蛍川橋を目指し進むと、ススキの見えるところで足を止めた。そこで、ススキとオギの違いについての説明があった。ススキは大きな株をつくるが、オギは1本1本で、株をつくらないという。果実を見ると、ススキの果実にはノギがあり、オギの果実にはノギがない。ススキは風散布に入る。

 蛍川橋を目指し進むと、ススキの見えるところで足を止めた。そこで、ススキとオギの違いについての説明があった。ススキは大きな株をつくるが、オギは1本1本で、株をつくらないという。果実を見ると、ススキの果実にはノギがあり、オギの果実にはノギがない。ススキは風散布に入る。

すぐ隣にナツツバキがある。果実は大分落ちてしまっているようだったが、いくつか見つかったので写真に収めた。5本の稜があり、いずれ5つに割れてくる。葉が枯れ始め、果実も熟し始めているようだ。重力・自然散布になる。

 蛍川橋の手前にオシロイバナがあり、説明を受けた。オシロイバナはトリゴネリンという毒を含んでいて、嘔吐、腹痛、強い下痢を発症するとう。全体に毒があるが、特に根や種子に毒成分が多いという。花は、昼間は閉じていて、夕方夕方開いてくる。果実は楕円形で黒色をしている。オシロイバナは重力・自然散布に入る。
 資料:http://mimimin.com/osiroibana-2/

蛍川橋を渡ったところでは、ヒガンバナと、ガマについての説明があった。ヒガンバナの毒性についてはよく知られている。ヒガンバナにはリコリンやガラタミンなどの有毒アルカロイドが含まれている。毒は特に球根に多く含まれているという。下痢、嘔吐、呼吸不全や痙攣、中枢神経麻痺などを起こすという(資料1)。また、白色のヒガンバナがあり、白色が先に咲き、赤色が後に咲くという。下記の資料2でも同じことが書かれていた。このことは先日課題としたことだが、先日は見たところでは、赤色がなく、白色のヒガンバナが1本だけ咲いていた。牧野新日本植物図鑑のシロバナマンジュシャゲを見ると、花の色は株によって変化があり、白に黄または淡紅を帯びていて、純白のものはないとある。課題は残されたままである。
 資料1:https://horti.jp/3233
 資料2:https://blog.goo.ne.jp/teinengoseikatukyoto/e/3883e657856c2c319e2ab8bb49d43cd7

 ガマの仲間には、ガマ、ヒメガマ、コガマがある。ヒメガマは上の雄花穂と下の雌花穂の間が緑色をしている。コガマはガマより、花穂が小さく、葉も幅が狭いというが、まだこの区別が分からない。これはガマだという。 風媒花。
撮影:10月14日
  記  平成30年10月14日(日)
10月17日(水)
ヌスビトハギ ヌスビトハギの果実 アレチヌスビトハギ アレチヌスビトハギの果実 ノダケ

ノダケの花 ノダケの若い果実 クリの樹 クリの果実 9/6撮影 ヤマユリの果実

ヤマアジサイ ヤマアジサイの若い果実

10月17日(水)

 蛍川橋を渡ると、ヌスビトハギがあり、先日は少しは花が見られたが、今日はもう花の姿は見られない。果実の姿を知らなんければ、どこにあるのか分からなくなってきている。果実は先日も見ている。2個の房が組になっていて、表面に曲がった毛が密生し、人の衣服につきやすくなっている。これに似たものにアレチヌスビトハギがある。こちらの果実は3個以上の房が組になっているので、ヌスビトハギとの違いが分かる。この2つは付着散布に入る。

 次にノダケのところへ行った。この花はカレーの匂いがするというので、某人が出て、実際に匂いを嗅いだところ反応がなかったという。後で確認したところ、花が咲いているときは匂いがしなかったが、果実だと確かにカレーの匂いがしてきた。花弁、雄しべとも濃い紫色で、花のつくりが分かり難い。下記の資料によると、「花弁は5個。雄しべは花弁より長い」とある。調べると、雄しべの5本は分かったが、花弁の数の確認は難しく、雌しべはその存在が分からなかった。資料によると、この花には「雄性期と雌性期がある」と説明されている。どうやら雄性期の後に雌性期が来るようで、この花は雄性期のようだ。カレーの匂いがした果実の方を見ると、果実は緑色で筒状をしている。この緑色のものは残された総苞片とのことだった。これは若い果実のようで、先には2つに分かれた柱頭が見える。
  資料:https://matsue-hana.com/hana/nodake.html

 この土手にクリの樹がある。ここでクリの樹の果実について話があった。クリの樹には毬があり、その中に果実が入っている。ここで、「クリの果実の皮はどこですか」との発問があった。下記の資料に答えがあった。

 「毬は皮、食べるところは種、固い殻の部分が果肉」とのことだった。意外と知らないことだった。クリは被食散布になる。
 資料:https://macaro-ni.jp/34578

 上にヤマユリの果実が伸びてきていた。花は大きく豪華そのもので、果実も大きい。この筒状の果実の中に種子が入っている。下記の資料では、ヤマユリの種子繁殖(実生)の様子がきめ細かく書かれていた。果実の中には6列の朔があり、半円形の煎餅のような種子が朔に整然と詰められるように並んでいた。この写真には驚いた。ヤマユリなどのユリの仲間は球根で増えると頭にあったが、自然界ではこの薄い種を飛ばし、増えていることを知った。ヤマユリは風散布になる。資料によると、実生からは5年たたないと花が咲かないという。生命を継承することがいかに難しいかを知らされた。
 資料:https://murauchi.muragon.com/entry/836.html

 次はヤマアジサイのとこへ来た。アジサイは花が終わると、剪定されるが、このヤマアジサイが訳ありか、花後剪定されていない。花の後を見ると、雌しべが2本飛び出ている姿が見に映った。これが種子になって来るのだろうか。アジサイは、普通装飾ばかりなので、種子が出来ない。ガクアジサイやヤマアジサイには、普通花があるので、種子が出来るという。アジサイは重力・自動散布になる。

撮影:10月14日
  記  平成30年10月15日(月)
10月18日(木)
キンミズヒキの果実 タイアザミ トリカブトの花 トリカブトの蕾 一部刈られた草原

ホオノキ ホオノキの果実 チカラシバの群落 チカラシバの説明

10月18日(木)

 はす池沿いに進んで行き、キンミズヒキのところで説明があった。キンミズヒキは、先ごろまで黄色い花が咲いていたが、もうほとんど花の姿なくなった。今は緑色の果実になっている。この果実を見ると、上縁に棘状のものが見えてきている。この刺状のものは、副萼片の変化したもので、これが人の服などに付き、運ばれていく。従って、キンミズヒキは付着散布の仲間に入る。もうすぐこの緑色が赤く染まってくる。その時は、「これは何だろう」と思うほど変身し、キンミズヒキとは思えなくなる。

 次はアザミの説明があった。これからアザミが咲いてくる。このアザミは、「ナンブアザミの変種のトネアザミといい、別名タイアザミという」との説明があったが、日頃、私はタイアザミと呼んでいる。特徴は総苞片の反り方にある。果実には多数の羽毛状の冠毛があり、風によって散布される。タイアザミは風散布に入る。

 藪の奥にトリカブトが見える。つい先日もこのトリカブトについて説明を受けたが、そのときは未だ花が咲いていなかった(資料)。今日見ると、青紫色の花が咲き出してきた。遠くからは分かり難いが、アップして見ると、兜の形が浮かび上がってくる。下記の資料で、トリカブトは猛毒を持っていることを書いたが、同じ説明を今日も受けた。おもな毒性分はジテルペン系アルカロイドのアコニチンで、心室細動ないし心停止を引き起こし死に至らしめる。素手で触ることは禁物である。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2954.html

 はす池が尽き、広場へ出た。ここは先日までカゼクサの大群落が見られたが、今日は半分近く、刈られていた。ここではホオノキノ果実について説明があった。ホオノキの花は大きいが、果実も大きい。実物を手に取り説明してくれた。ホオノキの下を見ると、大きな葉に混じり、大きな果実が落ちていた。黒く汚くなった果実の中を見たことがなかったので、資料で調べると、下記の資料では、「中から赤い果実が出てきて、熟すと、白い糸状の珠柄でぶら下がる」と写真入りで説明されていた。更に、赤い皮を剥ぐと、「焦げ茶色の種子が出てきた」との説明もあった。今までここまで見たことがなかったので、参考になった。ホオノキは重力・自動散布になる。
 資料:https://midori7614.exblog.jp/13288741/

 草原のチカラシバへ移動した。このところカゼクサに代わりチカラシバが目に付くようになってきた。両方の葉はよく似ているので、花が咲いてこないと2つの区別は難しい。カゼクサが一足咲いてくるが、この時、チカラシバがどこにあり、どんな状態にあるか知りたいが、チカラシバの穂が出てくるまで、それが分からない。チカラシバの小穂の基部に数本の剛毛が生えており、果実は剛毛ごと人の衣服などに付いて運ばれていく。従って、チカラシバは付着散布になる。

撮影:10月14日
  記  平成30年10月16日(火)
10月19日(金)
アメリカヤマゴボウ アメリカヤマゴボウの果実 アメリカヤマゴボウの説明 ガガイモの説明

ガガイモ2014/8/22撮影

ガガイモの花 ウマノスズクサ ヤマハギ ヤマハギの果実

10月19日(金)

 草原を通り越し、場所を北西側の藪へ移動した。ここにアメリカヤマゴボウがあるのでその説明が始まった。アメリカヤマゴボウを見ると、先日の台風の影響で、太い枝が折られていたが、それでも赤い枝の先にいくつかの果実が残されていた。果実を見ながら、アメリカヤマゴボウの毒性についての説明があった。果実と根に有毒成分があり、腹痛・嘔吐・下痢を起こし、更に、延髄に作用すると、痙攣を起こして死亡することがあるという。

 少し戻ると、蔓性のガガイモとウマノスズクサが絡まり、垣根になっていた。この2つについて説明を受けた。ガガイモは花を見たことがあるので、知っていたが、ウマノスズクサの名前は知っていたが、花は見たことがなたった。今は、どちらも花が咲いていない。

 牧野新日本植物図鑑によると、「ガガイモの葉は柄があり対生し、長心臓形で、全縁、支脈がはっきり見える」とある。長心臓形の葉をしたものは幾つかあるが、白色の支脈がはっきり見えるのはこれだけのようである。花冠は先が5裂し、白色の毛が密生している。下記の資料には興味を誘う内容が書かれていたので、参考にしたい。「ガガイモの茎から出る乳液を、蛇や毒虫に噛まれたり刺されたりした患部に直接塗布するだけで、解毒作用性がある」という。また、「イボとりにも使うことができる」とあった。
 資料:https://kurashi-no.jp/I0017372#head-e6b9b173bf6eee7995a509a6876f747f

 説明を受けているときは、ウマノスズクサがどれなのか、よく分からなかった。後で確認し、このガガイモの葉と似た形をしているものがウマノスズクサと分かった。下記の資料1で花を見てみると表現のし難い奇妙な形をしていた。牧野新日本植物図鑑では、この花の形について、「萼はラッパ状の筒型で・・・上半はだんだん広がって、斜めに開口し、側片は尖り、筒の下部は急に球状に膨らむ」と記述されていた。実に上手く表現していると思った。実際の花はこの膨球部の内部にあるという。ウラシマソウやマムシソウの花に感じが似ている。下記の資料2によると、「草に有毒成分を含み、誤って食べると腎臓障害を惹き起します」と書かれていた。
 資料1:https://matsue-hana.com/hana/umanosuzukusa.html

 資料2:http://www.geocities.jp/tama9midorijii/ptop/up/umanosuzukusa.html

    ここから元の道へ戻り、ショウブ園を通り抜け、奥へ入った。途中にハギの樹があり、このハギはヤマハギになるとの説明があった。ハギの主なものに、ヤマハぎ、ミヤギノハギ、マルバハギがある。ヤマハギ、ミヤギノハギは花序の柄が長く、葉の上へ出ている。花がないとヤマハギとミヤギノハギの区別は難しいが、葉をよく見ると、ミヤギノハギは細長い楕円形をしている。このハギは幅広の楕円形なので、ヤマハギになる。

撮影:10月14日
  記  平成30年10月17日(水)
10月20日(土)
シロバナミズヒキ シロバナミズヒキの小花 フジカンゾウ フジカンゾウの種子 マルバフジバカマ

マルバフジバカマの花 マルバフジバカマの葉 マルバフジバカマの小花 マルバフジバカマの茎:殆ど無毛 モグラの説明

モグラ塚 セイタカアワダチソウ ユウガギク ユウガギクの冠毛

10月20日(土)

 ヤマハギの奥へ進むと、シロバナミズヒキが出て来た。ひところ前はミズヒキが大分目立ったが、そろそろ少なくなり始めているようだ。この道際のミズヒキの中に、シロバナミズヒキがあったとは気が付かなかった。赤いミズヒキも、最初は色が薄いので、このシロバナミズヒキをシロバナミズヒキと見ていなかった。やはり注意力が必要だ。萼の開いたところを写真に収めようと、花を探したが、まだ開いていないようだった。

 近くにフジカンゾウが出て来た。先日まで、フジカンゾウはヌスビトハギと混じって咲いていたが、花期がヌスビトハギより短く、既に果実に代わってしまった。果実はヌスビトハギに似ているが、先日こちらの方が一回り大きいことを確認した(資料)。
 資料1:https://blogs.yahoo.co.jp/yokohamaiwao/16029098.html

 更に奥へ進むと、白色のマルバフジバカマが現れて来た。今日はこの花を探していた。ここで、この花について説明があった。フジバカマの花は赤みがかっており、葉は単純な単葉ではない。このフジバカマを見ると、花、葉がフジバカマのイメージとは大分違っていた。マルバフジバカマの名のように、葉が丸みを帯びていると思ったが、下の方の葉を見ないと、そのことは確認できなかった。

 一番の課題は、未だ咲き誇っているヒヨドリバナとの違いである。マルバフジバカマの葉が一般のフジバカマと同じように深く切れ込みが入っていると思つたが、実際には違っていた。下の葉を見れば、幾らか区別がつきそうだが、難しいことには変わりない。また、下の方の茎の毛の有無で、ヒヨドリバナとフジバカマは区別がつく。ヒヨドリバナの茎には毛があるが(資料1)、フジバカマの茎には毛がない(資料2)。マルバフジバカマの茎を見ると、殆ど無毛だった。花を見ると、つくりはヒヨドリバナによく似ているが、小花が一回り小さく見えたので、計測してみた。すると、ヒヨドリバナの横幅が1cm、高さが5mmであったの対し、マルバフジバカマは横幅が7mm、高さが7mmであった。
 資料1:https://blogs.yahoo.co.jp/yokohamaiwao/15643039.html
  資料2:https://blogs.yahoo.co.jp/yokohamaiwao/15643039.html

 更に奥へ入ったところで、説明者が変わり、モグラについて説明があった。モグラ1匹の生活範囲が50ⅿぐらいあり、自分で作ったトンネルに落ちてくるミミズなどを捕食しているという。1日に何と自分の体の半分ぐらいの量を食べるという。「そんなに食べるのか」と驚いた。モグラのトンネルには食物の貯蔵庫やトイレもあるとのこと、更に、12時間食事をとらないと餓死してしまうというとことを学んだ。トンネルの補修、あるいは拡張などで掘り出された土は上へ向かうトンネルから地表に捨てられるという。この小さな山をモグラ塚という。実際に皆さんで、モグラ塚を確認した。

 はす池へ戻り、園道へ出た。池の畔を見ると、セイタカアワダチソウの黄色い花が目に入って来た。先日はほんのり色づいたところだったが、今日は大分色づき、セイタカアワダチソウの季節が感じられるようになった。

 更に戻っていくと、ここにもユウガギクの群生が見えた。ユウガギクが咲き始め、大分経つので、もしかしたらノコンギクかも知れないと、葉を触ってみた。しかし、あの独特のざらざらした感触が伝わってこなかった。念のため冠毛を調べると、やはり冠毛がなく、ユウガギクであった。

撮影:10月14日
  記  平成30年10月17日(水)
10月26日(金)
アキニレ アキニレの果実

アキニレの果実:

4個が1対になっていた

果実の中 コガマ?

10月26日(金)

  四季の公園では、毎週土曜日、ボランティア見どころ案内が行われている。今日は土曜日なので、何時ものようにボランティア見どころ案内があるかもしれないと思い、出かけてみた。すると、公園内にはいくつものテントが張り巡らされ、区民祭りの準備が進められていた。この分では、開催されない予感がした。また、平常ならば、園内のアナウンスで、ボランティア見どころ案内開催のお知らせが流れるのであるが、今日はこの声が聞こえてこない。事務所で聞くと、どうもなさそうだった。)

 そこで、何時ものように個人的に見ていくことにした。ここへは先週来ているので、大きな変化はないと思うが、同じものを見ても何か学ぶものがあるだろうと思いながら歩き始めた。はす池の広場へ出ると、ケヤキが色づき、アキニレの果実も熟し始めていた。アキニレの果実を見ると、先日は薄らと褐色に色づいたものが、更に赤褐色に変わってきていた。中央付近に膨らみを感じたので、中の様子を知りたくなり、1房採ってみた。すると、房は4個が1組になって採れた。採る前に房を見ていた時は2個が1対になっていると思っていたが、採ってみると4個が1対になっていた。下記の資料によると、両性花が4〜6個ずつ集まってつくとあるので、よく見ると、4〜6個の房が対になっているのかもしれない。牧野新日本植物図鑑によると、翼果の中に2個の種子があるというので、切り開いてみたが、まだ早かったせいか、中は柔らかく、どれが種子なのか見分けがつかなかった。)
 資料:https://matsue-hana.com/hana/akinire.html1889アキニレの果実

 次に、はす池の畔にあるガマを見た。ガマには、ガマ、コガマ、ヒメガマがある。このうちヒメガマは分かってきたが、ガマとコガマの違いがまだ上手く捉えられない。今見ているのはコガマではないかと思い、ポイントをチェックしてみた。雌花穂の長さ10cm、太さ2cm、葉の幅1cmであった。下記の資料の他、幾つかの資料に当たって調べてみたが、決定打は見出すことは出来なかった。測定した3つの数値から判断すると、やはり、コガマになりそうだ。)

 資料:牧野新日本植物図鑑
ガマ コガマ
葉の幅 2cm 1cm
雌花穂 15~20cm 7~10cm(果穂全体)


 資料:https://blog.goo.ne.jp/utyucosmos/e/c496276780d7862004f0200ee023bd73
ガマ コガマ
葉の幅 2cm 1cm
雌花穂 19cm 8cm(果穂全体)
太さ 3cm 1cm
雄花穂 13cm 5cm


 資料:http://plants.minibird.jp/hydrophytes/plants/chuusui/ka_gyou/koGama/koGama.html
ガマ コガマ
葉の幅 1~2cm 5~8mm
雌花穂 7.5~20cm 4~10cm
太さ 2~3cm 1cm
撮影:10月20日
  記  平成30年10月24日(水)
10月27日(土)
ミゾソバの花 ミゾソバの花 アキノウナギツカミの花 アキノウナギツカミの花 ムラサキシキブ

ムラサキシキブの果実 葉の一部が紅葉を始めたニシキギ 果実が割れるところ アメリカセンダングサ アメリカセンダングサの頭花

ノダケ:雌性期の花 ノダケ:雌性期の花(横から見たところ)

10月27日(土)

 コガマを見た後、すぐ隣にあるミゾソバとアキノウナギツカミを見た。先日、ミゾソバは先端が赤く色づいていたが、蕾の状態で、花は開いていなかった。今日はどうなっているかと見ると、殆どが蕾の状態であったが、よく見ていくと、数個開いた花が見つかった。昨年は10月5日に舞岡公園でミゾソバの花を見ている(資料)。四季の公園は開花がやや遅いのだろうか。花被は紅紫色で、先が5裂している。花軸には腺毛が見える。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2439.html
 ミゾソバとアキノウナギツカミが混生しており、花が似ているので、見分けるのが難しい。ミゾソバの葉は耳を持った幅の広い葉で、柄があるのに対し、アキノウナギツカミの葉は幅が狭く、茎を挟み込んでおり、柄は短い。先日、このアキノウナギツカミをウナギズルと見たが、花期などを見ると、やはりアキノウナギツカミになるようだ。こちらも花がいくつか咲いていた。ミゾソバの花との違いは殆ど分からない。

 池沿いを進んで行くと、葉をほとんど落としたムラサキシキブが見えた。僅かにいくつかの果実が残っていいたので、ムラサキシキブと分かったが、葉がなくなり、果実がなくなると、もう、ムラサキシキブとは分からなくなってしまう。

 ニシキギの一部の葉が紅葉をしていた。ニシキギは紅葉が早く、葉が赤く染まったときは実にきれいになる。このニシキギを見ていると、赤い果実が割れ始めていた。扁平な形になった果実はよく見たが、丁度割れ出すところを見るのは初めてである。中の赤い果実が新鮮できれいに映っている。

 アメリカセンダングサが見えてきた。このアメリカセンダングサは元気がない。葉が枯れ始めているので、花期が終えたのだろうか。アメリカセンダングサは水辺近くにあるが、四季の森公園ではあまり見かけない。アメリカセンダングサは、頭花の下の総苞片が放射状に広がっているところが特徴になっている。葉は細長い楕円形で、鋭い鋸歯がある。葉、茎とも紫色を帯びている。

 これはノダケである。ノダケは先日も見ており、果実からカレーの匂いがするのを確認している。しかし、花については、未だよく確認していない。ノダケには雄性期が先にあり、その後雌性期が来ることを先日学んだ。そして、先日見た花は雄性期であり、雄しべが見えた。今日見ている花は雄しべがなく、雌しべが2本見えるので、雌性期の花になる。1本の雌しべの先が2つに分かれているのか、雌しべが2本あるのか調べてみたが、分からなかった。この雌性期の花の先が更につぼんで、先日見た若い果実になるようだ。

撮影:10月20日
  記  平成30年10月24日(水)
10月28日(日)
アイノコセンダングサ 白色の花は筒状花であった ユウガギクの群生 ユウガギクの花 ユウガギクの舌状花、筒状花の冠毛:殆どない

チカラシバの大きな株 チカラシバ1本の穂 チカラシバの小穂 ザクロソウ ザクロソウの花

10月28日(日)

 アメリカセンダングサによく似た花が出て来た。この花の頭花の下の総苞を見ると、放射状に伸びていない。従って、これはアメリカセンダングサにはならない。花の一部に白色のものが見えるが、よく見ると、これは舌状花ではない。するとシロノセンダングサでもなくなる。残されたのは、コセンダングサとアイノコセンダングサになる。この2つはどこが違うのだろうか。こう考えると、センダングサの仲間について、正確にとらえられていなかったことが分かって来た。そこで、もう一度調べ直して、整理してみた。

 ・シロノセンダングサには白色の舌状花がある。

 ・アイノコセンダングサの白色の花は大きい筒状花である。

  ・コセンダングサは白色の筒状花はなく、すべて黄色い筒状花である。

このように整理して見ると、白色に見える花が舌状花か筒状花かで違ってくることが分かって来た。この花の白色の花は筒状花だったので、この花はアイノコセンダングサになるようだ。

 先週見たユウガギクの大群生を再び見た。先週も書いたが、これほど沢山のユウガギクが一か所に咲いている光景は滅多に見る機会がない。まだまだ咲き続けるであろうが、先週より花は衰えている。もう1度冠毛の有無を調べてみた。

 此処の草原にチカラシバが群生していたが、今は殆ど刈り取られてしまっている。残されたチカラシバの記録を撮っておこうと撮影した。この一株から数十本の穂が出ているようだ。また、1本の穂にも小花が沢山ついている。この株が彼方此方にあったのだから、出来る種子の数といったら、無数に近い。「こうやって命を繋いでいるのだなぁ」と思うと、正しく自然の驚異を感じる。この果実が熟すと、人の衣服についてくる。今は、未だついてこないところを見ると、熟していないようだ。1つの小花を取り出してみた。長いノギのようなものが何本もある。小花はどんなつくりをしているのだろうか。この写真を見ていても皆目分からないので、資料に当たった。下記の資料によると、小穂の下にある剛毛は総苞になる。資料の写真を見ていると、チカラシバの小花の様子が分かって来た。下から見ていくと、第1苞頴、第2苞頴があり、その内側に第1小花の護頴、その内側にあるはずの第1小花は退化している。その内側に第2小花の護頴、その内側には第2小花がある。その第2小花を包むように第2内頴がある。複雑に思える小花のつくりが、整理しながら見ていくと、絡んだひもが解けるように解けて来た。
 資料:https://matsue-hana.com/hana/tikarasiba.html

 先日ザクロソウを見たが、花をよく見ていなかったので、再度、花を見に行った。畑に着くと、先日見ていたので、ザクロソウは直ぐに分かった。花は白色の小さな花だった。先日、「花被片は5枚」ということを調べておいたので、確認すると、確かに5枚確認できた。しかし、雄しべや雌しべの確認は難しかった。

撮影:10月20日
  記  平成30年10月24日(水)
10月29日(月)
シャクチリソバ シャクチリソバの小花 チャノキ チャノキの花 シラヤマギク

シラヤマギクの花 シラヤマギクの葉 舌状花、筒状花の冠毛

10月29日(月)

 先日、大きなソバの花が咲いていたが、その時は名前が分からなかった。後で調べると、シャクチリソバと分かった。名前が珍しいので、語源を調べると、ウィキペディアでは、『シャクチリの語源は不明だが、「本草綱目」に用いられた種名であり、牧野富太郎が和名として命名した」とある。一方下記の資料1では、「生薬名の赤地利(しゃくちり)の漢名を日本語読みにして、花が蕎麦(ソバ)に似ることから・・・」と説明されている。どちらにしても「シャクチリ」については説明がなかった。先日は、「5枚の花弁(実は萼)がよく分かる」と書いていた。資料2によると、シャクチリソバは薬用として栽培されていたものが、逸出し、野生化しているという。
 資料1:http://www.e-yakusou.com/sou02/soumm040.htm

 資料2:https://matsue-hana.com/hana/syakutirisoba.html

 シダを観察した藪の入口へ入ると、白色の花を咲かせた小さな樹が1本あった。花は下を向いている。先日、ハマヒサカキの葉を見ていた時、直ぐにハンマヒサカキの名前が浮かばず、チャノキの名前が浮かんだ、そんな訳で、この花を見た時、こちらが本来のチャノキではないだろうかと思いついた。昔はよく見たことがあったが、最近は滅多に見ることがない。葉は互生で、短い柄がある。楕円形をしており、縁に鋸歯がある。写真の花は完全に開花していないので、花弁の枚数は数えられないが、牧野新日本植物図鑑によると、萼、白色の花弁がそれぞれ5枚という。牧野新日本植物図鑑では、「チャ」と呼んでいる。チャ、チャノキ、本当の名前はどちらなのだろうか。

 この白い花はノコンギクになるのだろうか。何回か、四季の森公園を訪れているが、まだ、ノコンギクの姿を見ていない。ユウガギクを見ては、そろそろノコンギクではないかと、冠毛を見たりして確認しているが、一向に見つからない。似たものに、早くから咲いているシラヤマギクがあるが、このシラヤマギクと、このノギクが紛らわしい。シラヤマギクは舌状花の枚数が少なく、不完全な形をしており、茎の下へ行くほど葉が大きくなっている。頭花の大きさはこのノギクとほぼ変わらない。このノギクの下の葉を見ると、シラヤマギクのような大きな葉がない。舌状花、筒状花の冠毛を調べると、どちらも長い。ノコンギクの可能性もあると見たが、舌状花の数を考えると、このノギクはやはりシラヤマギクと見た方がいいようだ。

撮影:10月20日
  記  平成30年10月24日(水)
10月30日(火)
ヒメグルミの果実 シナサワグルミの冬芽 トリカブト ヤマグワの冬芽 ヤマボウシの冬芽

コブシの冬芽

10月30日(火)

 芦原湿原を左に見ながら進んで行った。湿原や藪の植物は秋も深まり、緑色が褪せて来た。一番奥にカモメヅルがあるが、もう分かり難くなっている。ここから右へ行くと不動の滝へ通じる。ここはもうすぐ紅葉で美しくなるところである。ここの入口に2種類のクルミの樹がある。1つはヒメグルミ、もう1つはシナサワグルミである。ヒメグルミには大きな果実が出来ている。緑色だった果実は褐色から暗紫色へと変わってきている。)

 すぐ隣にシナサワグルミがある。この樹の存在に気が付いたのは冬芽を見た時だった。今その時と同じ冬芽を見ている。褐色の毛で包まれており、柔らかく、暖かそうに感じた。この冬芽を見た時、未だシナサワグルミとは知らず、似ているものとして、アワブキではないだろうかと考えていた。しかし幹の様子が違うので、後で突き詰めていき、シナサワグルミと分かった。果実はヒメグルミと違って、花の後すぐに吊り雛のようなものを吊り下げる。今はその面影もない。)

 芦原湿原とは反対側の狭い路地のような湿原を見ていくと、青紫色の人の目を惹く花が見えた。すぐに、この花はトリカブトと分かった。トリカブトは、先日も四季の公園内で見てきている。今まで見たのは藪の中であるが、トリカブトがこのじめじめしたところに咲いてくるとは思わなかった。下記の資料を見ると、「木の陰や、高地の草原、沢筋などの湿気の多い場所に生えやすいです」の記載があった。やはり、この湿原にあってもおかしくないようだ。)
 資料:https://yamahack.com/401

 綺麗なシナサワグルミの冬芽を見た後、「冬芽を見る季節になって来たなぁ」と感じて来た。昨年もこの辺の冬芽を見て記録に残している。冬芽のことを考えながら進むと、直ぐに、ヤマグワのところへ来た。樹そのものは藪の方にあるが、枝が園道まで伸びてきているので、冬芽は見やすい位置にある。褐色で、丸味のある楕円形をしている。一番外側の皮は他の冬芽の芽鱗と比べると、乾燥した皮のように見えるが、芽鱗になるのだろうか、それとも。何か別物なのだろうか。)

 黄緑色の花を咲かせ、花のトンネルをつくったヤマボウシも既に冬芽に変わっている。よく見るヤマボウシの冬芽は丸味のある楕円形で、先が尖っている。この冬芽はそのような形をしていない。この冬芽は頂芽なので、もしかしたら、花芽でなく葉芽なのかもしてない。)

 コブシを見ると、長い毛におおわれた冬芽が出来ている。しかも、大きい。今まで見て来たコブシの冬芽はこの時期にはこれほど大きくなっていない。ここのコブシは成長が早いのだろうか。コブシの冬芽はハクモクレンの冬芽に似ている。そのため、時々戸惑うことがある。一般的に、コブシの冬芽は枝の伸びる方向を向き、ハクモクレンは垂直に上を向くといわれている。また、毛並みを見ると、コブシの冬芽の毛は立ち上がり、ハクモクレンの毛は先端方向に寝ているという(資料)。判断は難しいが、この冬芽の毛は立ち上がっているようだ。)
 資料:https://blog.goo.ne.jp/utyucosmos/e/672a2df28a99a37e24b8fb4a85687269

撮影:10月20日
  記  平成30年10月25日(木)
10月31日(水)
マユミの冬芽 ヤシャブシの冬芽(雄花花序) ムクノキの葉 ムクノキの冬芽 キブシの冬芽

クリの冬芽

10月31日(水)

この細い湿原沿いには藪からいろいろな樹木が枝を伸ばしているので、春夏は花を、これからは冬芽を見ることが出来る。  ヤシャブシの樹を取り囲むようにマユミの樹があり、冬芽が見える。マユミの葉は対生しており、その葉腋に1つずつ冬芽が出来ている。小さいので、ほぼ球形のように見え、芽鱗に包まれているところも分かる。 園道の上にヤシャブシの樹が斜めに伸びてきている。この樹を始めてみた時はヤシャブシとは気づかず、変わったハンノキがあると思った。しかし、ハンノキの幹は直立していることを知っていたので、これはハンノキではなさそうだと分かって来た。そのうち、冬芽の時のハンノキの雄花花序は下を向いているのに、この樹の雄花花序は何時見ても上を向いていることに気が付いた。やはり、この樹はハンノキとは違いヤシャブシになった。下の方の枝を見ると、雄花花序の冬芽が見える。短い円柱状に見える。雄花花序の下に見える冬芽は葉芽で、雌花花序はまだ表れていないようだ。

 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2608.html

 この黄葉を始めた樹は何の樹になるだろうか。黄色くなり始めた葉から判断すると、イヌシデのイメージがある。しかし、よく見ると、葉の縁の鋸歯が違うようだ。イヌシデの鋸歯は鋭く細かい重鋸歯になっている。冬芽を見ると、芽鱗に毛が沢山あるので、イヌシデと違うことがはっきりしてきた。すると何になるだろうか。再び考え直すと、ムクノキを思い出した。ムクノキの冬芽には毛があり、鋸歯は鋭く、側脈は鋸歯の先端へ達している。この葉の縁は枯れているが、拡大すると、確かに、側脈は鋸歯の先端へ達している。従って、この樹はムクノキなるようだ。

 ここからはキブシの樹が連続している。キブシは雌雄が別株というので、花が開花したとき、見分けようとしたが、なかなか見分けることが難しかった。そのうち、果実が出来始め、雄花と思った株にも果実が出来始めて来た。後日、前に撮影した写真を見直し、「この花が雌花だったのか」と改めて見直したことが思い出される。それから早いもので、冬芽を見る時期に入った。冬芽を見ると、大分大きくなっているのに驚いた。一番外側の芽鱗は紫色を帯びているが、先の方はきれいな薄い黄緑色をしている。

 芦原湿原の先端付近へ来ると、ここにクリの樹がある。このクリの樹は、最初見た時、クリの樹か、クヌギの樹か迷ったが、「クリの葉の鋸歯は緑色で短いのに対し、クヌギの鋸歯は白色で長い」ということからこのクリの葉を見て来たことが思い出される。冬芽を見ると、丸い球状をしている。これから日が当たったりすると、褐色から黒味がかってくる。今は冬芽の出来立てのほやほやのようだ。
  資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1888.html

撮影:10月20日
  記  平成30年10月25日(木)