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平成30年度                                                           四季の森公園の植物へ
9月
9月19日(水)
花柱が真っ白なホトトギス 石見銀山で見たホトトギス(ヤマジノホトトギス) 三ツ池公園で見たホトトギス(ヤマホトトギス) 花柱に斑点がないのに、花被片は反り返っている 枝の先に花が10個以上はついている

9月19日(水)

 このところ天候不順で、四季の森公園への足が遠ざかってしまった。今日の天気は危なそうだが、涼しいので四季の森公園へ出かけた。中山駅からは15分ぐらい歩くことになるが、暑くないので、それほど疲れを感じることなく北門へ着いた。ここで少し休みながら蛍川橋を渡って行こうとしていると、蛍川橋を渡ったところに数人の塊が目に入って来た。あそこに何か特別ものがあるのだろうかと予想できた。

 蛍川橋を渡ると、土手にホトトギスが見えた。ちょっと見たところ、よく見かけるホトトギスのイメージとは少し違い、小さな花に見えた。更によく見ると、花柱に紫色の斑点がなく、真っ白に見えるのが印象的だった。「ホトトギスが咲く時期になったかぁ」としみじみ思い、過去の資料を開いてみた。

  花柱に紫色の斑点がなく、真っ白なホトトギスを始めてみたのは石見銀山であった(資料1)。その時は名前が分からず、ただのホトトギスにしていた。

 その後、資料2で簡単なホトトギスの検索表を作ってみた。この検索表を見直してみると、花柱に紫色の斑点がなく、白色をしているものとしてはヤマジノホトトギスのみにしていた。ところがこの検索表の写真を見ると、上のヤマホトトギスの花柱も紫色の斑点がなく、真っ白に見えたので、花柱が白色のものにはヤマホトトギスとヤマジノホトトギスの2つがあるような気がしてきた。

 ところが、資料3のヤマホトトギスを見ると、「花被片は反り返り、花柱に斑点がある。」とある。資料4のヤマジホトトギスの写真の花柱も紫色の斑点があり花被片は反り返っている。試料の写真を見ると、花柱に斑点がないのに、花被片は反り返っている。

 ヤマジノホトトギスの花被片は反り返らないので、このホトトギスはヤマホトトギスとヤマジノホトトギスノのどちらになるのか分からなくなってきた。資料5のヤマジノホトトギスを見ると、「花びらが平開きと言うことだが、かなり下がっているのも見られる、咲き終わりとかが関係しているか?」との記載があった。

 試料の花は咲き終わりとは考えにくい。牧野新日本植物図鑑をみると、「ヤマホトトギスは葉腋、疎らな散房花序を出し、ヤマジノホトトギスは葉腋、1~3個ずつの花序」を出すと説明されている。この散房花序について調べると、資料6では「アブラナのような花軸に多くの花がつき、花柄が、下の花ほど長く、上の花にいくにしたがって短くなって、各花が平らになって並んで咲く花のつき方」と説明されていた。

 この辺の解釈がよく分からないが、試料は葉腋から出た枝に数個の花をつけるのではなく、枝の先に少なくても10個以上はついている。以上のことから考えると、試料のホトトギスはヤマホトトギスになるのだろうか。
 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-372.html

 資料2:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-1979.html

 資料3:http://www.geocities.co.jp/NatureLand/6324/menu/ha/hototogisu.html

 資料4:https://blogs.yahoo.co.jp/hanano500/56342619.html

 資料5:https://blog.goo.ne.jp/dog3131muku/e/22f2abd1da1330cad5b7d2cf36e31f1e

 資料6:http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/buna/glossary/index.html:

撮影:9月12日ほか
  記  平成30年9月15日(土)
9月20日(木)
ヌスビトハギ ヌスビトハギの小花 アレチヌスビトハギ アレチヌスビトハギの小花:1対の黄色い斑紋 葉腋から長く伸びた枝の先に1つの花がつく

苞葉の枚数が多い 花の直径は1.5cm ハエドクソウ ハエドクソウの花

9月20日(木)

 山際の石垣沿いを見ていると、大分ヌスビトハギは増えてきたことが分かった。前回来た時も彼方此方で見たが、今日は花が沢山ついているように思えた。開いた花が多くなったので、その分花が多く見えてきたのかもしれない。花の写真は何枚も撮ってきているが、花が小さく、鮮明な写真が撮れないので、再び撮影した。蝶形花の花は下向きに咲いているので、花の様子を知るためには、上向きに変えて撮影しなければならない。旗弁の下から撮影した写真を見ると、旗弁の基は受け皿のようになっていて、その中に翼弁や竜骨弁が収まっている。また、旗弁は大きな皿のようになっている。ヌスビトハギの花を上や横から見ていたのでは、この姿は見えてこない。

  ヌスビトハギに混ざって一際鮮やかな紫色をし、花が一回り大きいハギが見つかった。葉を見ると、3出葉の小葉が細長い。このハギはアレチヌスビトハギになると思えた。アレチヌスビトハギの旗弁の奥には1対の黄色い斑紋がある。この斑紋があるか探すと、確かにあった。参考に旗弁の長さ計測すると、アレチヌスビトハギは8~9㎜で、ヌスビトハギは1~2㎜と大きな違いがあった。

 直ぐ傍の僅かな土のところからコヤブタバコが出てきていた。三ツ池公園では、花が終わっていたが、ここではしっかりした花が見られた。この花を見ると、コヤブタバコ、ガンクビソウ、ヤブタバコの3つを思い出す。この中で、コヤブタバコとガンクビソウが非常に紛らわしく、区別が難しい。この3つは花弁が平開することがないので、花だけ見ていたのでは区別がつかない。花のつき方、花の後方の苞葉の枚数を見ると、違いが分かってくる。この花のつき方を見ると、葉腋から長く伸びた枝の先に1つの花が付き、花の後方は苞葉枚数が多い。以上のことからこの花がコヤブタバコと分かってくる。花の直径を測ると、1.5cmあった。

 下の草陰に白色の花をつけた背丈の低い花が見えた。開花している花の下に花を終えたものがあり、枝に沿うように下を向いている。何となくハエドクソウに似ている。今年は、四季の森公園でハエドクソウを頻繁に見て来た。また、ここへ来る前は、ハエドクソウはそれほど背丈が高くないものと思っていたが、ここでは屈まなくても花が見られる高さにあるものがあった。今見ている花は、屈まなくては見られない。四季の森公園で初めてハエドクソウを見たのは6月17日であった(資料1)。それからすると、花期が随分長い。この花は、花期の最後なのだろうか。下記の資料2によると、花期は7〜8月という。この花は本当にハエドクソウになるのだろうか。花は唇形花で、上唇は小さく、先が中央で浅く2つに割れている。下唇は上唇より大きく、先は3つに割れている。更に、上唇の上にある萼の先は濃い赤褐色で、先が3つに割れている。ここまで確認したところで、過去の資料と比較した。資料3で、ハエドクソウの花は、「上唇は短くて先が2裂し、両側がやや広く肩状になり、下唇は長くて3裂する」と確認している。葉は対生し、長さ5cm、幅3cm、柄が3.5cmであった。やはりこの花はハエドクソウになるようだ。それにしても、ハエドクソウの花期がこんなに長いとは知らなかった。

 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2816.html

 資料2:http://mikawanoyasou.org/data/haedokusou.htm

 資料3:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2806.html

撮影:9月12日ほか
  記  平成30年9月17日(月)
9月21日(金)
イヌトウバナ ヒヨドリバナ キンミズヒキ トキリマメ:竜骨弁が不明 トキリマメ:中央の白色のものが竜骨弁になるのか?

ヤブタバコ ヤブタバコ ガンクビソウ コヤブタバコ フジカンゾウ

フジカンゾウ フジカンゾウ:旗弁に黄色い斑紋が見えない

9月21日(金)

  「ハエドクソウはこんなに長い期間咲いているのかぁ」と思いながら進むと、花が終わりかけていそうなイヌトウバナが見えた。この花を見ると、トウバナの名前が思い出され、はて?、どちららだったかと錯覚に陥ることがある。トウバナは春に咲き、イヌトウバナの花は夏から咲いてくる。今年は8月26日に1度見ている(資料)。その時、花のつくりについて「唇形花で、上唇は上を向き、中央が浅くくびれ、縁は丸みを帯びている。下唇は3つに分かれ、中央が一番大きく、舌のように伸びている。」と確認している。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2902.html

 ヒヨドリバナが見えた。6月2日、四季の森公園で見た時は白色の蕾だったが、7月18には同じ公園で、花が咲き出した。ところが8月に入ると、花が絶え、一時花が見えなくなった。それが8月中旬を過ぎると、再び蕾が見え始めて来た。今見ると、再び花が咲き出している。下記の資料によると、ヒヨドリバナの花期は8~10月と説明されている。今盛んに蕾が見られるのが不思議に感じていたが、花期を考えると、ごく普通のようだ。
 資料:http://www.jugemusha.com/yasou-zz-hiyodoribana.htm

 キンミズヒキは果実が出来始めているが、未だ新鮮な花が見られる。この花も花期が長いと思ったら、下記の資料によると、花期は7〜10月となっていた。
  資料:https://matsue-hana.com/hana/kinmizuhiki.html

 蔓性の黄色い花が咲いている。この花と同じ花を9月6日に三ツ池公園で見ている。その時は、葉や萼の特徴を見てトキリマメと判断していて、花そのものには触れていなかった(資料1)。マメ科の花は蝶形花なので、旗弁、翼弁、竜骨弁があることになる。写真を撮ってみると、旗弁、翼弁は分かったが、竜骨弁はよく分からなかった。竜骨弁がよく分かる資料を探したところ、資料2が見つかった。写真が鮮明で、ホッソリした竜骨弁が示されていた。資料2を参考にすると、試料の中央の白色のものが竜骨弁になるのらしい。
 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2917.html

 資料2:https://hananusubito.blog.fc2.com/blog-entry-6607.html

 ヤブタバコの花が見えてきた。今年は、既にヤブタバコに似たガンクビソウとコヤブタバコの花は見たが、ヤブタバコの花はまだ見ていなかった。ヤブタバコの花は葉腋に直接つくことから、枝全体を通してみると、ガンクビソウ、コヤブタバコとは区別がつく、しかし、花だけをとってみると、区別が難しくなる。

 このピンクの花の名前は何というのだろうか。遠目にはヌスビトハギに見えたが、近づいていくと、花が大きく、色が鮮やかなので、アレチヌスビトハギの気がしてきた。しかし、旗弁を見たが、アレチヌスビトハギの特徴である黄色い斑紋が見えない。更に見直すと、花数が多く、葉が3出葉でないので、アレチヌスビトハギとは明らかに違っている。そこで、「アレチヌスビトハギに似た花」で検索すると、似ている花の中にフジカンゾウがあった。更に、資料2を開いて確認すると、花、葉がそっくりであった。この花はフジカンゾウになるようだ。今まであまり目にすることがなかったが、今盛んに咲いている。
 資料1:https://https://matsue-hana.com/yasou/kubetu/nusubitohagi.html

 資料2:https://matsue-hana.com/hana/hujikanzou.html

撮影:9月12日ほか
  記  平成30年9月18日(火)
9月22日(土)
イヌトウバナ イヌゴマ イヌゴマの花 イヌゴマの花と雄しべ ツリフネソウ

ツリフネソウの花 キツリフネ ヨシ ヨシの蕾 コバノカモメヅル

9月22日(土)

  イヌゴマが咲いていた。対生する細長い葉が90度ごとに交差し頂部に、ピンクの花が輪生するように咲いている。全体に毛が多いが、唇形花のきれいな花である。舞岡公園と四季の森公園で見かけている。上唇は斜め上に立ち上がり、下唇は前へ伸び、先が3つに裂け、左右のものは三角形をした翼のように横へ突き出て、中央の大きなものは楕円形をし、前へ伸びている。内側には濃い紫色の斑紋があり、昆虫を奥へ誘っている。花弁の外側に毛が目立つ。2本の雄しべは上唇の内側に張り付くように上へ伸びている。雌しべは写真からは分からない。下記の資料では、「雄しべは4本あり、葯は濃茶褐色をしている。雌しべは白色で、先が2つに分かれているようだ。」と記録していた。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2850.html

  藪の縁近くに濃いピンク色をした花がぽつりと見えた。何の花かと近くへ寄ってみると、ツリフネソウであった。先日、三ツ池公園へこのツリフネソウを見に出掛けたら、開花直前にしてバッサリと刈り取られていてしまっていた。そのため、今年は濃いピンク色をしたツリフネソウは見られないものと諦めていた。今日は、このツリフネソウが見られて、幸いであった。ツリフネソウは水辺近くに咲くが、ここは水辺から離れている。しかし、日陰の時が多いので、湿気があることは確かである。このツリフネソウも一風変わった形をした花である。花の様子については下記の資料に書いておいた。それを見ると、「花は唇形花で、上唇は上へ立ち上がっているのが1枚で、下唇は2枚に割れ大きく前へ伸びている。従って、花弁の数は3枚になる。」と記録している。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2430.html

  少し進むと、木道の右側が芦原湿原になり、その湿原が木道の右側に数ⅿ伸びている。この狭い湿原に黄色いツリフネソウが咲いていた。この花は1度、7月18に見ている(資料)。この時は既に花期は終わりの方に来ていたようで、花数が少なかった。そして、8月10日に見た時は花がなくなっていた。それが、濃いピンク色のツリフネソウの開花に合わすように再び咲き出して来た。この花の花期を調べようと検索していると、この黄色いツリフネソウの名前にキツリフネとキツリフネソウの2つがあることに気が付いた。些細なことだが、どちらが正しいのだろうか。牧野新日本植物図鑑では、「キツリフネ」になっている。また、花期については、ツリフネソウは秋、キツリフネは夏となっていた。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2862.html

  芦原湿原のヨシが花をつけていたので撮影した。ヨシはオギやススキに似ているが、広く、短い葉が上の方までつき、旗のようになっているので、区別がつく。片側になびいている穂を見たが、細い小穂が見えるが、開花していないようで、細かいところは確認できなかった。

 コバノカモメヅルのところへ移動した。この花は何度か見ている。先日見た時、「そろそろ花も終わりかなぁ」と思ったが、未だよく咲いていた。赤紫色の風車のような花が特徴的である。
 資料:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2882.html

撮影:9月12日ほか
  記  平成30年9月19日(水)
9月23日(日)
キツネノマゴ キツネノマゴの花 ハエドクソウの果実 センニンソウ ユウガギク

ユウガギクの花 ユウガギク:舌状花と筒状花 フジカンゾウ フジカンゾウの花序 ヨシに迫るクズ

クズの花 クサギの花

9月23日(日)

 キツネノマゴが先日から沢山咲いている。そろそろ衰えが出てくるのではと思っていたが、依然として勢いがあり、あちこちで小群落をつくっている。キツネノマゴは背丈が低いと思っていたが、最近見かけるものは意外と高い。花は小さく、人目を引き付けない花だが、1つの小花をアップしてみると、巧妙なつくりをしていることが分かる。唇形花で、上唇と、下唇がある唇の形をしている。上唇は立ち上がり、先が浅く2つに裂け、下唇は前に伸び、先が3つに裂けている。下唇の奥には白色の斑紋があり、昆虫を引き寄せる誘導をしている。

 この辺にはハエドクソウがあったので、先ほど見た花がハエドクソウであったか、確認したかった。しかし、残念ながら花の姿はなかった。それでも花の後の果実が残っていた。果実は枝に沿い下を向き、背中の先端は濃赤褐色を帯び、3つに裂けていた。この姿はハエドクソウの萼を示している。やはり、先ほど見た花はハエドクソウで間違いないようだ。

 更に進むと、草むらの中に白色の花が見えてきた。花の中には散り始めたものが見られ、そろそろ花期が終わりに来ているようだ。十文字の花が目立ち、沢山の雄しべが飛び出ている姿からセンニンソウと分かる。

 右側の芦原湿原の中頃へ来ると、左側に白色のノギクが現れて来た。先日、ここから先でユウガギクを見ている。花数は余り増えていない。ユウガギクを見てから日数が経ったので、もしかしたらノコンギクが現れているかもしれないと思い、冠毛を確認した。すると、舌状花、筒状花とも冠毛を見ることは出来なかった。やはり、このノギクは先日と同じユウガギクのままであった。

 左側の藪の中に、先程知ったフジカンゾウの花が見えた。先ほど見たばかりなので、印象深く残っている。葉は3出葉でなく、複葉になっている。花は大きめな唇形花になっている。群生しているわけではないが、ぽつりぽつりと見えてくるので、今最盛期を迎えているように思える。

 芦原湿原へ目を向けると、大きな葉をつけたクズがヨシを覆う勢いで辺りを占有していた。クズの勢いに圧倒させながら見ていると、赤みを帯びた花が見えてきた。今年初めて見る花ではないが、カメラを向けたくなった。クズの花はマメ科の大きな花である。花の形が分かるか、望遠を使って撮影した。竜骨弁は分からないが旗弁と翼弁が分かり、蝶形花であることが分かる。

クサギが見えた。開花した花、萎んだ花、蕾が入り混じっている。先日も思ったが、この花の形が面白い 下記の資料では、「黄白色の蕾のように見える苞葉(萼)の中から赤みがかった長い花柄を出し、その先に花が付いている。」と書いていた。ところが、このクサギは黄白色の蕾のように見える苞葉(萼)の色が違っている。こちらは黄白色でなく、赤みを帯びている。資料1によると、「初めから萼がピンクになる木もある」とあった。

 資料2ではクサギの花には雄期と雌期があることを確認してきた。また、資料3では、雄期と雌期について分かり易く説明されており、「花が開いた初めの日は雄期で、翌日は雌期になる」との説明があった。自家受粉を防ぐために雄期と雌期を分けている巧みな仕組みである。

 資料1:http://warpal.sakura.ne.jp/kbg/kusagi/kusagi.htmm

 資料2:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2925.html

 資料3:https://www.city.niigata.lg.jp/akiha/about/zukan/shinrin/kusagi.html

撮影:9月12日ほか
  記  平成30年9月20日(木)
9月24日(月)
ツリガネニンジン 水車小屋 シラヤマギク シラヤマギクの下の葉 ヤマハギ

アマドコロ アマドコロの果実 ヤブラン ヤブランの花 ヤマハギ

ヤマハギの花 トダシバ

9月24日(月)

 芦原湿原の横を通り、ショウブ園へ向かった。この道の右側にツリバナがあるが、果実もなくなり、目立たなくなってしまった。このツリバナの横に先日見たツリガネニンジンがまだ花を咲かせていた。下を見ると、鋸歯のある3~4枚の葉が輪生し、そこから長い枝を伸ばし、その先に薄い紫色の花をつけている。枝には開出する短い毛が密生し、数枚の葉が互生している。ツリガネニンジンの萼には鋸歯があるというので、確認した。

 水車小屋へ近づくと「ゴォー、ゴォー」と大きな音が聞こえて来た。どこからこの音が出ているのかと、音の出てくる方を見ると、音は水車小屋から出ており、近づいてみると、水車が動いていた。上から水が流れて来て、水車を回していることが分かった。この水車が動くごとに大きな音は出ている。水が落下するときの力強さが伝わって来た。

 ショウブ園から展望台へ通じる山道へ入ると、シラヤマギクの白い花が見えた。でも、花数が少ない。シラヤマギクはもともと花弁が欠けているような形をしているので、枯れ始めたように見えた。シラヤマギクは下の方ほど葉が大きくなってくる。このシラヤマギクの葉は大分虫にやられているようで、花は末期なのかもしれない。

 ハギが見えた。しかし、花の姿はほとんどない。僅かに残された花を見ると、長い花柄があるので、ヤマハギになるようだ。  秋に入った山には花らしき花がほとんど見つからなかった。何かないものかと思いながら進むと、青黒い果実をつけたアマドコロが見つかった。中へ入れないので、望遠写真を撮って記録に残した。

 トキリマメがあった。トキリマメは先ほど記録したの、で先へ進んだ。ヤブランが所々に見えてくる。ヤブランは今が最盛期なのかもしれない。

 北口から上ってくる坂道へ出た。この道を通るのは久しぶりである。道の向こう側を見ると、ハギが何株も植えられている。先程の山では花がほとんどなかったが、こちらのハギにはまだ花がたくさん残されていた。花を見ると、竜骨弁が翼弁よりやや長いように見えたので、ミヤギノハギではと思ったが、葉を見ると、楕円形で、細長くはない。このハギはヤマハギのようだ。

 水田へ通じるトンネルの入口へ来た。左側の土手を見ると、トダシバと思われるものが群生していた。写真で判断すると、「おやぁ」と思う所がないこともない。先を急いだため、葉や葉舌などを見ておかなかったのが失敗であった。

撮影:9月12日ほか
  記  平成30年9月21日(金)
9月25日(火)
オオブタクサ オオブタクサの雄花花序 オオブタクサの雄花 オオブタクサの雄花 オオブタクサの雌花

ナンバンギセルが見られた土手 ナンバンギセル ミドリヒメワラビ ミドリヒメワラビ:中軸、羽軸は紫色を帯びている ミドリヒメワラビ:小羽軸には狭い翼があり、基部には短い柄がある

ミドリヒメワラビ:胞子嚢は全体に分布しているが、やや羽軸よりになっている

9月25日(火)

  蛍川橋の近くで、ハエドクソウを見ていた時、近くに来た人が、「トンネルを抜けたところにナンバンギセルが咲いている」という情報をくれたのを思い出し、ここからトンネルを抜けていった。トンネルを抜けると、左右にオオブタクサが群生していた。背丈が高く、花をたくさんつけていた。ここでは雄花だけでなく雌花を見ることが出来るのではと思った。先日、三ツ池公園でブタクサとオオブタクサの花を見たが、雄花の小さい粒の塊、雌花の微かな2本の雌しべが分かる程度で終わっていた(資料1)。今日改めて見直したが、詳細が分からないので、下記の資料2と資料3を参考にしてみた。資料2によると、「総包片は合着して皿型になり,複数の筒状花を入れる」と説明されていた。この説明から、雄花の小さい粒の塊が複数の筒状花と分かった。1つの塊を拡大すると、袋の中に何かが入っているように見える。これが雄しべになるのだろうか。資料4の写真を見ると、下の方の小花から雄しべが出ているのがよく分かる。

 雌花は、雄花花序の下のところにあるというので、下へ辿って行った。すると、花らしいものが見えてきた。しかし、小さくて詳細が分かりに難いので、1つを取り出してみた。すると、糸状のものが2本見えた。これが柱頭のようだ。資料2の写真を見ると、そっくりであった。

 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2928.html

 資料2:https://matsue-hana.com/hana/oobutakusa.html

 資料3:http://wapichan.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-7204.html

  資料4:http://motos.fc2web.com/hana/8kioobutakusa.html

 ブタクサを見ていた時、何人かの人が盛んに土手を見ている光景が目に入って来た。その様子から、ナンバンギセルを見ていることが推察できた。土手に近づくと、草陰に赤紫色をしたナンバンギセルの姿が見えてきた。ここ一帯に沢山のナンバンギセルがあるようだ。更に近づくと、数か所で草が踏まれて枯れた跡があった。ここから多くの人がナンバンギセルを見ていたことが分かる。先人に続き、そこに立つと、ナンバンギセルがよく見えてきた。ナンバンギセルはススキなどの根元に寄生するという。周りを見ると、確かにススキに囲まれていた。

 沢山のナンバンギセルを見て、満喫しながら坂を下って行った。崖に下にシダが見えてきた。ミドリヒメワラビと思うが、何度見ても戸惑う。資料1と資料2の中のピントを列記して試料を比べてみた。

資料1資料2
生育環境山地の山麓の斜面林床や向陽な林縁1
葉身2回羽状複葉3回羽状深裂~複葉
小羽片基部に柄がつき、羽軸に狭い翼がある小羽軸には狭い翼があり、短い柄がある
胞子嚢ソーラスは中肋と辺縁の中間につき、包膜は小さい円腎形。胞子は楕円形で、胞子嚢群は辺縁と中肋の中間につく。


 このミドリヒメワラビの生育環境はススキが茂る崖の下であるので、日はよく当たる。中軸、羽軸は紫色を帯びている。葉身は3回羽状複葉である。小羽軸には狭い翼があり、基部には短い柄がある。胞子嚢は全体に分布しているが、やや羽軸よりになっている。どちらかというと、資料2に似ている。このシダはミドリヒメワラビになるようだ。
 資料1:https://matsue-hana.com/hana/midorihimewarabi.html

 資料2:http://plants.minibird.jp/kansai/kansai50/kansai_ma/con_mi/midoriHimeWarabi/midoriHimeWarabi.html

撮影:9月12日ほか
  記  平成30年9月21日(金)
9月26日(水)
試料:ヤマホトトギス イタドリ イタドリの小花 メドハギ メドハギの小花

イヌコウジュ イヌコウジュの花 ヒガンバナ

9月26日(水)

 更に坂を下って行くと、今日最初に見たヤマホトトギスと同じようなホトトギスが目に入って来た(資料1)。ヤマホトトギスとヤマジノホトトギスの違いは、花柱に紫色の斑点がなく、花弁が水平であれば、ヤマジノホトトギス、反り返っていればヤマホトトギスだといわれている。このホトトギスの花弁は反り返っている。従って、ヤマホトトギスになるのだろうか、

 まだピント来ない。試料のホトトギスの花を見ると、外側に6本の雄しべがあり、その内側に雌しべがあり、柱頭は大きく3つに分かれ、それぞれがさらい2つずつに分かれている。従って、6つに分かれているように見える。しかし、雌しべは雄しべに殆ど囲まれているので、先端の柱頭を除くと、直接見ることが出来ない。

 資料の中には、「ヤマホトトギスの花柱には斑点がある」と説明されているもの(資料2)があれば、「花糸の外面や花柱の基部に斑点があるものやほとんどないものがある」と説明されているものもある(資料3)。この試料の花柱に斑点があるかないかは花を解剖しなければ分からない。また、花糸の外面や花柱の基部に斑点があるヤマホトトギスの写真資料は見つからない。

 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2921.html
 資料2:http://takatsukirozan.o.oo7.jp/sizen/yamahototogisu/yamahototogisu.html
 資料3:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2793.html
  坂の下の方に白色の細かい花が見えた。この花はイタドリである。今年既に開花を見たような気がしたので、イタドリは今頃咲くのだろうかと思った。資料1を調べてみると、記憶通り6月3日に近くの線路の土手で見ていた。牧野新日本植物図鑑によると、「夏、枝上の葉腋や枝先複総状の様の花穂をだし・・・」とある。資料2では、「初秋から枝には小さな白い花がたくさんつく」、資料3では、「花期は7〜10月」とあることから、今イタドリが咲いているのはごく普通に思えて来た。イタドリは雌雄が別株というので、小花の写真を撮ってみたが、どちらかは判定が出来なかった。

 資料1:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2793.html
 資料2:https://www.shigei.or.jp/herbgarden/album_hosobayamajiso.html
 資料3:https://matsue-hana.com/hana/itadori.html

    これはメドハギではないだろうか、遠くからはヨモギのような感じがしていたが、近づくとメドハギと分かって来た。蕾が多かったが、いくつか花が咲いていた。ハギの仲間なので花は蝶形花になる。この花は三ツ池公園でつい最近見てきている。どこにもあるように思える花だが、それほど多くのところでは見ていない。

 更に下へ進むと、薄い紫色の花が目に入って来た。これはイヌコウジュではないだろうか。先日、このイヌコウジュを求めて仲町台の方へ行ったが、花は咲いていなかったし、蕾すら確認できなかった。ここのイヌコウジュを見ると、上の方に花が咲いている。下記の資料1によると、「イヌコウジュ属の他の植物は、先に花穂を作って、下から順に上に向かって咲いていくのが普通」と説明されている。同じようなことを記載しているいくつかの資料も見つかった。すると、このイヌコウジュは既に大分前から咲き出していたことになる。イヌコウジュの花のつくりについては下記の資料2で書き留めていたので、読み直してみた。「上唇は3枚で、中央が大きく、2枚が横に伸びている。中央の大きいものは上が浅くくびれている。下唇は大きく、斜め下へ伸びており、内側には毛がたくさん見られる。雄しべは4本あるいは2本と言われるが、本数は確認できなかった。上唇に触れているものが雄しべと思える。また、花弁の外側には薄紫色の小さな斑点があるようだ」と書き留めてあった。

 資料1:http://www.shigei.or.jp/herbgarden/album_hosobayamajiso.html
 資料2:https://01hana.blog.fc2.com/blog-entry-2407.html

 水田の畦道に赤いヒガンバナが咲いていた。彼岸頃に咲くというが、本当だ。花はどうやってこの時を知るのだろうか、太陽の動き、気温、湿度などを的確にとらえていると思えるが、神秘的な能力である。

撮影:9月12日
  記  平成30年9月21日(金)